気になる「汚名挽回」
きょうの【気になる言葉】は「汚名挽回(ばんかい)」は誤用じゃないのか、です。
Gは「汚名返上」を使い、「汚名挽回」は使いません。
【1】『朝日新聞の用語の手引』【2】『記者ハンドブック』【3】『NHK間違いやすい日本語ハンドブック』すべて、「汚名返上」が正しく「汚名挽回」は誤用としているからです。
【3】には以下のような解説があります。
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「汚名挽回」は、二つの言葉が一緒になってしまった間違い=「混交表現」の代表例です。
この場合「汚名返上」と「名誉挽回」が混ざってしまったのですね。
「挽回」は、元の状態に引き戻すことですから、「汚名挽回」というと、不名誉な評判を引き戻すことになり、逆の意味になってしまいますね。
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このことから、報道機関に準拠する役所や企業の広報担当は、「汚名返上」を使うべきだと考えます。
でも、最新の『三省堂国語辞典第七版』は、「『汚名挽回』=汚名を着た状態をもとどおりにすること。『汚名を取り戻すこと』ではなく、誤用でない」と言い切っています。
代表的な国語辞典は、意見が分かれています。
■「汚名挽回」誤用派
・『デジタル大辞泉』…誤用
・『新明解国語辞典』…用例は「汚名返上」
■「汚名挽回」容認派
・『三省堂国語辞典第七版』…誤用ではない
■中間派
・『明鏡国語辞典』…「汚名挽回」は誤用である/誤用でないの両説がある
【参考】
『明鏡国語辞典』「挽回」の<語法>
「汚名を挽回する」など、「~を」にくるものを払いのけて、もとのよい状態を取り戻すために巻き返しを図ることの意でも使われる。「汚名挽回」を誤用とする説は、この用法を認めない。
文化庁は、平成16年度「国語に関する世論調査」で「汚名挽回」を間違った言い方としています。
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「前回失敗したので今度は―しようと誓った」という場合に、
(1)本来の言い方である「汚名返上」を使う人が38.3パーセント
(2)間違った言い方「汚名挽回」を使う人が44.1パーセント
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注目すべきは、間違った言い方「汚名挽回」を使う人の方が多いということ。
将来、「汚名挽回」が「汚名返上」することになるのかもしれません。
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つづく
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