気になる「香ばし」と「芳し」
Facebookの投稿で【気になる言葉】を見つけました。
ここでクイズです。
「大成する人は幼少のときからすぐれている」という例えに使われるのは、
【1】【2】のどっち?
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【1】栴檀は双葉(二葉)より香ばし(せんだんは ふたばより こうばし)
【2】栴檀は双葉(二葉)より芳し(せんだんは ふたばより かんばし)
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どなたかに「【1】ですな」と言われた社会保険労務士のMさんは、
投稿で「正しくは【2】だそうです」と書いていました。
Gも使うなら【2】です。
でも、ちょっと気になりデジタル大辞泉で調べてみました。
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■こうばし・い〔かうばしい〕【香ばしい/▽芳ばしい】
[形][文]かうば・し[シク]《「かぐわしい」の音変化》
1 よい香りがする。多く、食物を煎(い)ったり焼いたりしたときの、好ましい香りにいう。「―・いほうじ茶の香り」
2 見た目や印象などがすばらしい。りっぱである。「薄色の衣のいみじう―・しきをとらせたりければ」〈宇治拾遺・一二〉
3 望ましく思う。心が引かれる。「姿、みめありさま、―・しくなつかしきこと限りなし」〈宇治拾遺・六〉
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■かんばし・い【芳しい/×馨しい/▽香しい】
[形][文]かんば・し[シク]《「かぐわしい」の音変化》
1 においがよい。こうばしい。「―・い花の香り」「栴檀(せんだん)は双葉より―・し」
2 (多く打消しの語を伴って用いる)好ましいもの、りっぱなものと認められるさま。「成績が―・くない」
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【香ばしい/▽芳ばしい】は「よい香りがする」
【芳しい/×馨しい/▽香しい】は「においがよい」
と、どちらも同じ意味です。
違いは以下の2つ。
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「こうばしい」の常用漢字は「香」で送り仮名は「ばしい」
「かんばしい」の常用漢字は「芳」で送り仮名は「しい」
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どちが一般的かと言われれば【2】のように思いますし、
ちょっと国語辞典を調べた限りでは【1】はありません。
やはり【2】を使うべきなんですかね~
念のため古語辞典(学研全訳古語辞典)で調べてみました。
すると、ありましたよ【2】の【栴檀は二葉より香ばし】が。
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大成する人は幼少のときからすぐれているというたとえ。
▽栴檀は発芽のころから早くも香気を放つことから。
【出典】平家物語 一・殿下乗合
「せんだんはふたばよりかうばしとこそ見えたれ。既(すで)に十二三にならむずる者が、今は礼儀を存知(ぞんぢ)してこそふるまふべきに」
[訳] 栴檀は二葉より芳(かんば)しいと言われている。すでに十二、三歳になろうとする者が、もう礼儀を心得てふるまうべきなのに。
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[訳] が「栴檀は二葉より芳(かんば)しいと言われている」となっていますので、現代語では【2】を使った方がよさそうです。
ただし【1】は間違いと言わない方がいいかと思いますね。
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つづく
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