気になる「子ども」と「子供」
ことし7月中旬、文部科学省はそれまで公文書で使ってきた「子ども」という表記を「子供」に変更したそうです。
ことし3月の通常国会で、ある議員から「小学生は『子供』と学んでいる」「(漢字とかなの)交ぜ書きは国語を破壊する」などの指摘があったのを受け、本年度に入って省内で協議した結果、変更することになったようです。 (2013/08/30【熊本日日新聞】)
「過ちては改むるにはばかることなかれ(論語)」といいますが、一議員の指摘にいささか過剰反応では、と思うのはGだけでしょうか。
■「小学生は『子供』と学んでいる」のか
小学校学習指導要領の「別表 学年別配当表」では、「子」は第一学年に「共」は第四学年に配当されています。このことから4年生以上は「子供」と学んでいるといえます。でも「共」を習っていない3年生以下は「子供」と書けませんよね。
■「(漢字とかなの)交ぜ書きは国語を破壊する」のか
そのような意見があるようです。国立国語研究所サイトの「よくある『ことば』の質問」には、「語義を漢字から直感できない,とか,書き手が読み手の程度に合わせてやっている,という態度を感じさせるなど,素直に読めない,いわば『わだかまり』のようなものを生じやすい,という報告はあります」と書かれていました。でも本当に「交ぜ書きは国語を破壊する」のでしょうか。
お役所では「常用漢字」を使用するのが原則です。
これは常用漢字表にない漢字や音訓は使わないということです。
「必ず常用漢字表にある漢字を使って書かなければならない」ことを意味しているわけではありません。
もちろん常用漢字の「子供」を使うことはまったく問題ありません。
しかし、文科省に限らず、ほとんどのお役所が「子ども」や「こども」を使っているのが実態です。それは各省庁のサイトを見ればわかります。
「報道(広報)文」も「子供」は使わないというルールにはなっていません。
『記者ハンドブック新聞用字用語集』(共同通信社)は、「こども (小共)→子供・子ども〔注〕一般には『子ども』が多く使われている。祝日は『こどもの日』。」と「子供」と「子ども」を併記していますが。
ちなみにGは、役所の広報担当時代も今も、「子ども」と書いています。
【結論】
「よくある『ことば』の質問」(国立国語研究所)にあるように、「漢字で書くか,仮名で書くか,についていえば,有る限りの漢字をできるだけ総動員して書かねばならない,とか,全体で何パーセントの漢字含有率を目指して書かねばならない,などという決まりも,(新聞社内の基準や,読みやすさの目安にこそあれ,)公的な規則としてあるわけではありません。ですから実は「子供」でも「子ども」でも「こども」(因みに,国民の祝日は「こどもの日」と書きます。)でもよい」のです。
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つづく
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