行政情報を分かりやすく伝える言葉遣いの工夫に関する意識調査結果(広報紙担当責任者編)
【気になる言葉】シリーズ第48回。
きょう取り上げるのは、2003(平成15)年11月に国立国語研究所が全国680自治体(市区町村)の広報紙担当責任者を対象に実施した調査結果の概要です。
広報担当の公務員向けネタです(ますますニッチに…笑)。
1.広報紙における外来語や略語について
(1)広報紙の原稿に外来語や略語が多いと感じることがあるか
「ある」の合計が85.2%(「よくある」30.2%+「時々ある」55.0%),「ない」の合計が13.3%(「あまりない」12.1%+「めったにない」1.2%)である。
都市規模別にみると,「ある」の合計は都市規模が大きくなるほど多く,「ない」の合計は郡部で多くなっている。
(2)外来語や略語を使うことの良い点
「これまでになかった物事や考え方を表すことができる」(49.5%)が5割でもっとも多い。以下,「新しさを感じさせることができる」(32.4%),「話が通じやすく便利である」(29.8%),「文章の文字数を節約できる」(29.6%)が3割前後で続く。
(3)外来語や略語を使うことの悪い点
「相手によって話が通じなくなる」(91.6%)が9割と際立って多い。大きく離れて「誤解や意味の取り違えがおこる」(57.5%)が6割弱,「難しくて覚えにくい」(42.5%)が4割強で続いている。(複数回答)
2.分かりやすく伝える工夫について
(1)分かりにくい言葉は言い換えたり,説明を加えたりしているか
「原稿を書いた人の承諾を得て,書き換えたり説明を加えたりしている」が33.5%,「編集担当の裁量で,書き換えたり説明を加えたりしている」が14.6%,「編集マニュアルにしたがって,書き換えたり説明を加えたりしている」が3.9%,「原稿によって,上記の1~3の方法を使い分けている」が46.2%である。これらの合計は98.2%であり,回答者のほとんどが,原稿に分かりにくい言葉があったら,何らかの方法で書き換えたり,説明を加えたりしている。
都市規模別にみると,「原稿を書いた人の承諾を得て,書き換えたり説明を加えたりしている」は大都市(48.4%)で多くなっている。
(4)外来語や略語の使い方の指針は必要か
「必要だと思う」が78.4%,「必要ないと思う」が11.7%であり,広報紙担当責任者の約8割が外来語や略語の使い方の指針は必要と感じている。
(5)外来語や略語の手引き
もっとも多いのは「市販の手引き」(62.6%)の6割強である。大きく離れて「協会や団体で作った手引き」(24.4%)が続く。「自治体独自に作った手引き」(6.0%)は極めて少ない。一方,「何も使っていない」は17.0%である。(複数回答)
都市規模別にみると,「協会や団体で作った手引き」は人口10万以上の市(31.7%)で,「自治体独自に作った手引き」は大都市(22.6%)で,「何も使っていない」は郡部(26.8%)で,それぞれ多くなっている。
4.住民に分かりやすく伝えるための行政用語の見直しについて
(1)行政用語の見直しの必要性
「必要だと思う」が82.3%と,広報紙担当責任者の8割以上が行政用語の見直しの必要性を感じていることが分かる。
(2)「住民に分かりやすい言葉で伝える工夫」や「住民との円滑なコミュニケーションを図る工夫」を組織的に行っているか
「今のところ,行う予定はない」(57.9%)が約6割でもっとも多い。次が,「以前から行っている」(24.9%)の2割強である。「これから行おうと考えている」(9.7%)は約1割である。
都市規模別にみると,「以前から行っている」は人口10万以上の市(33.1%)で,「今のところ,行う予定はない」は郡部(70.2%)で,それぞれ多くなっている。
(3)行政用語の見直しを組織的に行うには
「自治体職員の自発的な提案を吸い上げて組織をつくるのがよいと思う」(62.1%)が6割を超えてもっとも多い。「住民からの要望や苦情に応えるかたちで組織をつくるのがよいと思う」(16.7%)や,「首長が提唱して組織をつくるのがよいと思う」(15.0%)は少ない。
5.国立国語研究所の「外来語言い換え提案」について
(1)「外来語言い換え提案」の周知度
「知っていた」(53.0%)が過半数で,「知らなかった」(45.4%)を8ポイント上回っている。
都市規模別にみると,「知っていた」は大都市(83.9%),人口10万以上の市(70.2%)で多く,「知らなかった」は郡部(63.4%),人口10万未満の市(53.6%)で多い。
(3)「外来語言い換え提案」の必要性
「必要だと思う」(76.0%)と回答した広報紙担当責任者が8割弱である。
都市規模別にみると,都市規模が大きくなるほど,「必要だと思う」が多くなっている。
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つづく
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