気になる「名前のローマ字表記」
【気になる言葉】シリーズ第53回。
6月1日に発売される「これで怖くない!公務員のクレーム対応術」(小田順子編著・学陽書房)。
Amazonでは予約注文ができるようになり、おかげさまで早くもランキングが表示されましたm(_ _)m
まだネット上で公開されていない表紙(画像)はこれ↓
タイトルの右に小さく「小田順子[編著]」とありますが、その下にさらに小さな文字で「ODA junko」と書かれています。
みなさんは、このローマ字表記をご覧になってどう思います?
みなさんの名刺やIDカードの名前(ローマ字表記)はどのようになっています?
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1.Oda Junko
2.ODA Junko
3.ODA,Junko
4.ODA JUNKO
5.Junko Oda
6.JUNKO ODA
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の中にありますか?
実は、お役所的には1~3の「姓-名」表記を推奨しているんです。ご存じない方も多いと思いますが。
その根拠は…
2000(平成12)年12月26日付庁文国第44号「外来語・外国語の取扱い及び姓名のローマ字表記について(依頼)」です。
この依頼文は、文化庁次長から各省庁,各都道府県,各大学・短期大学・高等専門学校,その他各関係機関宛てに出されたもの(本文は以下のとおり)。
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このたび,第22期国語審議会は,「現代社会における敬意表現」,「表外漢字字体表」及び「国際社会に対応する日本語の在り方」を取りまとめ文部大臣に答申しました。
答申のうち,「国際社会に対応する日本語の在り方」では,官公庁や新聞・放送等における外来語・外国語の取扱いに関し,一般に定着していない外来語・外国語を安易に用いることなく,個々の語の使用の是非について慎重に判断し,必要に応じて注釈を付す等の配慮を行う必要があるとしています。また,日本人の姓名のローマ字表記に関し,「姓-名」の順とすることが望ましいとし,官公庁や報道機関等における表記及び学校教育における英語等の指導において,その趣旨が生かされることを希望しています。
ついては,今回の答申の趣旨について御理解をいただき,貴管下において発行される文書等について,これらの趣旨に沿って対応していただけるよう御配慮をお願いいたします。
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この依頼文のもとになった国語審議会(2000(平成12)年12月8日答申)「国際社会に対応する日本語の在り方」にはこう書かれています。
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(2)姓名のローマ字表記についての考え方
世界の人々の名前の形式は,「名-姓」のもの,「姓-名」のもの,「名」のみのもの,自分の「名」と親の「名」を並べて個人の名称とするものなど多様であり,それぞれが使われる社会の文化や歴史を背景として成立したものである。世界の中で,日本のほか,中国,韓国,ベトナムなどアジアの数か国と,欧米ではハンガリーで「姓-名」の形式が用いられている。
国際交流の機会の拡大に伴い,異なる国の人同士が姓名を紹介し合う機会は増大しつつあると考えられる。また,先に記したように,現在では英語が世界の共通語として情報交流を担う機能を果たしつつあり,それに伴って各国の人名を英文の中にローマ字で書き表すことが増えていくと考えられる。国語審議会としては,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,そのような際に,一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として,一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。
したがって,日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えば Yamada Haruo)とすることが望ましい。なお,従来の慣習に基づく誤解を防ぐために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。 今後,官公庁や報道機関等において,日本人の姓名をローマ字で表記する場合,並びに学校教育における英語等の指導においても,以上の趣旨が生かされることを希望する。
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平成10年度「国語に関する世論調査」(調査時期:平成11年1月8日~1月22日)では、
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英文の中で日本人の姓名の順をどう表記すべきかを尋ねたところ,グラフのような結果になった。年齢別に見ると,若い年代になるほど「名―姓」の順に直すのがよい」とする人の割合が高い。
<グラフを文章化したもの>
「姓‐名の順で通すべき」34.9%,「名‐姓の順に直すのがよい」30.6%,「どちらとも言えない」29.6%,「分からない」4.8%。
平成7年度調査の,「あなたは,外国で使うためにローマ字書きの名刺を作る場合,その名刺には,御自分の姓と名のどちらを先に書くべきだと思いますか」という問いでは,「姓を先にする」が24.6%,「名を先にする」が62.3%,「どちらとも言えない」が5.5%であった。それに比べると,今回の調査では「名―姓」の順に直すという人の割合が低く,「どちらとも言えない」という人の割合が高くなっている。
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でした。
【気になる言葉】メニューページ(別窓で開きます)
つづく
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