気になる「意志」と「意思」
【気になる言葉】シリーズ第29回。きょうは「意志」と「意思」の違いです。
「意志」は成し遂げようとする心のこと(主に心理学用語)。
「意志が強い(固い)」や「意志が薄弱」、「意志を貫く」のように使います。
「意思」は持っている考えや思いのこと(主に法律用語)。
「意思の疎通を欠く」や「意思表示」、「本人の意思を尊重」のように使います。
詳しくは、以下の「国語辞典」と「法律用語辞典」の解説をご覧ください。
■意志
【解説】
<デジタル大辞泉>
1.あることを行いたい、または行いたくないという考え。意向。「参加する―がある」「こちらの―が通じる」
2.目的や計画を選択し、それを実現しようとする精神の働き。知識・感情に対立するものと考えられ、合わせて「知情意」という。「―を貫く」「―強固」
3.哲学で、個人あるいは集団の行動を意識的に決定する能力。広義には、欲望も含まれる。倫理学的には、道徳的判断の主体あるいは原因となるものをいい、衝動と対立する
[用法]意志
「意志」は「意志を貫く」「意志の強い人」「意志薄弱」など、何かをしよう、したいという気持ちを表す場合に用いられる。哲学・心理学用語としては「意志」を用いることが多い。
◇「意志(意思)の疎通を欠く」「意志(意思)表示」などは、話し手の意識によって使い分けられることもある。
<有斐閣法律用語辞典>
物事をしようとする又はしまいとする積極的な思い。「意思」が、心の中に思い浮かべている内容一般を指すのに対し、「意志」は、それが行動と結びつく積極性がある。主に哲学、倫理学、心理学で用いられ、法律用語としては一般に用いられない。
■意思
【解説】
<デジタル大辞泉>
1.何かをしようとするときの元となる心持ち。「本人の―に任せる」
2.法律用語。
①民法上、身体の動作の直接の原因となる心理作用や、ある事実に対する意欲をさす
②刑法上、自分の行為に対する認識をさし、時には犯意と同じ意味をもつ。「犯行の―」
[用法]意思
「意思」は、「双方の意思を汲(く)む」「家族の意思を尊重する」など、思い・考えの意味に重点を置いた場合に用いられる。法律用語としては「意思」を用いることが多い。
◇「意志(意思)の疎通を欠く」「意志(意思)表示」などは、話し手の意識によって使い分けられることもある。
<有斐閣法律用語辞典>
1.民法上は、表示行為の直接の原因となる心理作用、すなわち、欲求ないし承認、特に権利義務の変動に向けられたものをいう
2.刑法上は、自分がしようとする行為に対する認識をいう。「犯意」※と同じ意味に用いる場合もある
※「犯意」とは罪を犯す意思のことで「故意」ともいい、犯罪の基本的要件の1つ(刑法38条)
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つづく
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