気になる「出納整理期間」
【気になる言葉】シリーズ第23回。きょうは、お役所用語(かつ法律用語)である「出納整理期間」の解説です。
「出納」の読みは、もちろん「すいとう」で「しゅつのう」ではありません。小学校の漢字テストや中学入試でよく出題される「出納」ですが、みなさんは会計帳簿の「現金出納帳」でよくご存じですね。
4月9日の記事「数字を作らせてください」で、思わず使ってしまった「出納整理期間」。この言葉は、公務員じゃなければわからない言葉でした(大変失礼いたしました)。
「出納整理期間」とは、国や自治体が会計年度(4月1日~翌年3月31日)終了後も前年度の出納ができる期間(翌年4月1日~5月31日の2か月間)のこと。
「出納」とは、金銭、物品等の受け入れ及び払出しのことです。
<具体例>
1.納期:2012(平成24)年3月30日(<例年3月31日>ことしは3月31日が土曜日なので)
2.納品:契約事業者は、12(平成24)年3月30日<例年3月31日>までに物品や印刷物、調査報告書などを納品しなければなりません(そのため、コンサルタントは連日徹夜だったりします^^;)
3.検査:12(平成24)年3月30日<例年3月31日>までに役所の検査に合格しないと違約金を請求されることに
4.代金請求:検査合格後、事業者は役所に代金支払いの請求をします
5.代金支払い:役所は代金請求後30日以内に支払えばいいので、事業者の口座に代金が振り込まれるのは5月の連休明けということも
つまり現金主義(単式簿記)の役所は、決算月の2か月後まで前会計年度のお金のやりとりなど(整理)が認められているんです。
民間企業のように発生主義(複式簿記)をとらない役所ならではの仕組みです。ただし、民間と同じ仕組みの公営企業や外郭団体は除きます。
【薀蓄(うんちく)】
現在、会計管理者(地方自治法168条)と呼ばれている職は、Gが役人だったころ、都道府県では「出納長」、市区町村では「収入役」でした(懐かしいな~笑)
おまけ
「出納整理期間」の最終日(5月31日)は、「出納閉鎖期日」とか「出納閉鎖日」と呼ばれ、その日が近づくと庁内放送で注意喚起がされたものです。
ちなみに有斐閣法律用語辞典の「出納整理期間」に、「国又は地方公共団体の複雑な会計経理を行うためのもの」と書かれていたのには笑ってしまいました。「単純な会計経理を行っている国又は地方公共団体ならではの仕組み」とした方がいいのでは?
<参考図書>第八版 体系 都財政用語事典
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つづく
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